ありのままの、あなたが欲しい。
私には水谷さんの言っている意味がわからなかった。


母親と重ね合わせている?

得られなかった愛情を求めてる?



『いったい…何のこと?』



そう問い掛けると、水谷さんは少し驚いたように目を開いて『…何も聞いてないんですか?』と言った。


首をかしげる私に、水谷さんは少し考えた後、ショージさんのお母様の話をしてくれたのだった。



まさか、ショージさんのお母様も不倫をしていて、それが原因で女性と付き合わなくなってしまったなんて──。


同じことをしていた自分にも嫌気がさしたし、ショージさんはただの節操なしだと誤解していたことも情けなく思った。


それに──私は知らなかったのに彼女には全てを話していたのだと思うと、とても寂しくなった。


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