ありのままの、あなたが欲しい。
マナトくんを抱きしめながら涙を零す夏芽さんを、俺は遠目で静かに眺めていた。


森井さんは何故かうんうんと頷きながら、ヒューマンドラマでも見ているかのように感動している。


いや、アナタ事情知らないでしょう…と思いながら苦笑していると。



「お母さん、ちょっと待ってて」


「……?」



もう機嫌が直ったらしいマナトくんは、夏芽さんの腕を抜けると俺の方に向かってトコトコと走ってくる。


そして、「これ、お母さんにあげて!」と言って何かを差し出してきた。



「……花?」



手渡されたそれは、白くて丸い小さな花だった。

なんだかポップコーンみたいな形をしている。


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