僕のお母さん2



松本に兄弟がいるのは、初耳だ。お兄さんだろうか、それとも弟さんだろうか。どっちにしても、松本とそっくりでカッコいいんだろうな……。僕が、松本のことをジッと見ていると、松本は僕を見ていった。





「お前さ、前から思ってたんだけど……。」





それから、たっぷり三十秒黙って、松本は言った。





「話すのが苦手ってわけじゃなくて、ただ話すのが面倒なだけじゃないのか?お前、いつも何か言おうとして口を開くけど、何も言わないじゃん。」





話すのが、面倒?僕が?松本の目には、そういう風に見えているのだろうか。そういえば、僕普通に松本ともルミさんとも話してるよな……。でも、やっぱりそれって話すのが苦手だから、口に出して言えないからなんじゃないだろうか。








「僕、別に話すのが面倒なわけじゃなくて、色々考え込んじゃうんだ。僕の周りは、小さい子ばかりだったから、小さい子は、何も考えないで好きなことを言ってるけど、僕にはそれができなかった。色々、相手のことを考え……いや、相手の顔色を疑いながら、しゃべることが多かったから。」





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