僕のお母さん2


言うのをやめようと思ったとき、松本がさっき言ったことを思い出した。“俺の前では、ちゃんと話せ”
話そう。自分が思ってることを……





「だから、僕のことは……つ、椿って呼んでください。松本は……僕の友達だから!」





言って目を瞑った。今の僕にはこれが精一杯だ。松本が断ったのなら、今まで通り“佐藤”で構わない。佐藤は、ルミさんの名字だから、嫌いじゃないし。





しばらく目を瞑って、下を向いていたが、松本が何も言わないので、ゆっくりと目を開けて松本を見た。松本は、僕を見て目を見開いている。やっぱり、ダメなんだろうか……





たっぷり二分目を見開いたあと、松本がゆっくりと話始めた。





「驚いた。友達だと思っていたのは、俺だけだと思ってたよ。むしろもう、親友だと俺は思ってた。まさか、お前も思ってたとはな……」





“親友”響きがよかった。松本は、驚いて目を見開いたんだ……僕は、友達だと思ってるのは、自分だけだと思っていた。松本も友達だと……親友だと思ってくれてたんだ……。





「椿。」





松本が僕をまっすぐ見ている。“椿”と、最近は、ルミさんにしか呼ばれてなかったから、何だかくすぐったいような気分だった。





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