僕のお母さん2
僕がボーッと松本のことを見ていると、松本はどんどん顔を真っ赤にしていった。
「な、なんだよ!何か言えよ。恥ずかしいだろ……」
僕は、慌てて考えた。この場合、“はい”と答えるのもなんだよな……何を言ったらいいんだろう。松本は、僕のことを、椿と呼んでくれる。なら、僕も松本を名前で呼ぶ?でも、図々しいよな……呼んでくれとも言われてないのに。
「あー、もう!今、お前考えただろ?俺がどう思うだとか……お前が、椿が、思ってることを言えよ。」
何でもお見通しか……。僕は、松本を名前で呼ぶことにした。なるべく変じゃないように、自然に言おう。
「……裕貴。」
そう、松本は、裕貴という名前だ。いつもと違う呼び方で呼ぶと、なんだか変な感じがする。
「おお。なんか、友達に久しぶりに裕貴なんて呼ばれたな。なんか、いいなこういうの。」
裕貴。椿。お互いを名前で呼ぶことって、こんなにも特別感があるのだろうか。
笑い合っているとき、玄関のドアが開いた。僕の部屋は玄関に近いのですぐにわかる。
「椿~。ちょっと来て~。」
この声は、もちろんルミさんだ。僕は、自分の部屋のドアを開けて、ルミさんを出迎える。
「ルミさん、お帰りなさい。」