僕のお母さん2
「これで、卒業式を終了します。卒業生退場。」





沢山の拍手。その中を、僕達卒業生は、歩いて退場した。退場のとき、ルミさんを探したが、なかなか発見できなかった。教室に帰ると、最後に担任の先生の言葉を聞いて、校庭に出た。





校庭へは、裕貴と一緒に出た。裕貴もルミさんを見なかったようだ。門出の花道を裕貴と、二人で歩きながら、出会った頃のことを、色々思い出す。裕貴から、声をかけてくれて、僕の性格とかを理解してくれて、気持ち悪がらないで、ずっと一緒にいてくれた。





裕貴は、僕の親友だ。





「椿。」





裕貴が、僕を呼ぶ。僕は、裕貴を見る。裕貴は、ニッコリと笑っていた。ああ、やっぱり裕貴とルミさんは似ている。笑っているときが一番似ている。





「中学でも、よろしくな。」





「もちろん。」





花道の、出口辺りになると、拍手が起こる。僕たちは、花道を抜けて帰ろうとしていた。すると、僕達の前に誰かが立った。人目でわかった。ルミさんだ。いつもより、服装に力を入れていて、綺麗に化粧をしている。パッと見たらもしかしたら、ルミさんだってわからないかも。





「椿。卒業……おめでとう。」





ルミさんの目には、涙。頬に伝っていた。僕は、裕貴を見る。裕貴は、驚いていたが、やがて笑って、僕に言った。





「綺麗に泣くな、お前の母ちゃんは。」





僕は、頷いて裕貴と一緒に、ルミさんのもとに向かった。ルミさんを抱きしめたとき、気がついた。初めてあったとき、ルミさんのほうが、背が高かったのに、今じゃルミさんと同じくらいだ。裕貴なんか、ルミさんより頭一個分でかい。





「椿、裕貴、中学校でも頑張ってね。」





ルミさんは、涙を拭いながら、笑顔で僕達に言った。
僕のお母さんは、やっぱり涙もろかった。滅多に人前じゃ流さないけどね。





つづく。かも





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