聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「あ、和さん」
ファミリーレストラン内に入って、すぐにその姿を見つけた。
なんていうか、目立ってたから……。
和さんは男とも女ともとれる中性的な美しさを持っていた。
ウィッグをつけているのか、髪は記憶より長い。
聖花学園の制服であるブレザーがとてもよく似合っていた。
そんな和さん。
色んな人が来るファミリーレストランでは、大注目だ。
「あ、えーと……社長の娘……さん……?」
……最後が疑問形だ。
まあ、男装中だから仕方ないかも知れないけど。
「はい、お久しぶりです。和さん……あ、今は和子(ワコ)さんでしたっけ」
そう、女子校である聖花学園に通っている和さんは、和子という名前で日々を過ごしていた。
和さんのようにお母さんからの指令で聖花学園に通っている男タレントは他に三人いるらしいけど、その人達も女の子っぽい名前でいるらしい。
「うん……それで話って、何? ……社長から、伝え聞いた話じゃ……よく……分からなかったから……」
和さんの話し方は独特なゆっくりした話し方だ。
怜さんが天然って言ったのも分かる気がする。