聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 フゥー、と最後に息を吐いて、弘樹を連れた黒斗がくるにはまだ時間があることに気が付いた。



 ……聞いて、みようかな……?



 ずっと疑問に思ってて、でも全く同じ立場の雪さんと怜さんには聞けなかったこと。

 似たような立場でも、正反対の場所にいる和さんになら聞ける気がした。



「あの、聞いても良いですか?」

「ん? ……何……?」


「その……和さんは男なのに女と偽って女子校にいますよね」

「……うん」


 あたしはそこで一度息をつき、思い切って聞いた。


「他の生徒を騙してるって、思いませんか? 罪悪感とか、感じたりしませんか?」

 そう、それはお披露目の前日、本性を出した黒斗に言われてからずっと思っていたことだった。


 高志のことや、弘樹のこと。

 学園の、色んな人と関わっていく度に募っていった思い。


 こんな思いを募らせて、どうしたらいいか分からなかった。


 和さんなら、何か答えをくれるんじゃないかと思った。



「それは……思ったこと、ない……」


 ガクゥ!

 あたしは思い切り肩を落としてうなだれた。


 何か、出鼻からくじかれた感じ。

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