聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

幕間 弘樹

 俺は家に帰って自分の部屋に行くと、すぐにベッドに倒れこんだ。

 心の中でモヤモヤとした感情が渦巻いている。


 これは和子さんとの事が原因じゃない。

 彼女の事は、告白出来て振られてしまった時点で、終わった事だったから。

 心の中でも決着は付けられた。


 じゃあこのモヤモヤは何か。

 決まってる。

 黒斗の事だ。


 二人と別れてからすぐ、店の代金、友か黒斗のどっちかが払ってくれたんだと気付いて、俺は二人の後を追った。


 人通りの少ない所まで来て、丁度角を曲がった先に二人の姿を見つけた。

 それで、普通に声をかけようとした瞬間、黒斗が友を塀に押し付けた。

 俺は驚いて、かけようとしていた言葉を失った。


 とっさに角に身を隠し、聞き耳を立てる。


 ナイトである黒斗が、友に乱暴なマネをするなんて……。

 いや、それ以前に、黒斗が他人を乱暴に扱うこと事態が信じられなかった。



 距離があったから、何をしていたのかまでは分からなかった。

 声も、全部が聞こえていたわけじゃない。

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