聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「それじゃあ最後に……友さん」
「へ? え、あ、はい!」
「あたし、お兄ちゃんの彼女はあたしと同じくらいか、あたしより綺麗な女の人じゃなきゃ認めないの! だから友さん。お兄ちゃんを変な道に引きずり込まないでね!!」
そう全て言い切ると、由理香ちゃんは「それじゃあ」と走り去って行ってしまった。
………………。
「は?」
何? 今の台詞。
どういう意味?
「由理香のやつ……それ言いに来たんだな」
黒斗が由理香ちゃんの後姿を見送りながら呟いた。
あたしは未だ訳が分からず混乱中。
ちょっと待って。
整理してみよう……。
まず由理香ちゃんは、黒斗の彼女は由理香ちゃんと同じくらいか、由理香ちゃんより綺麗じゃないと認めない、と。
そして、だからあたしに黒斗を変な道に引きずり込むな……と?
変な道?
ああ、あたし今男の格好してるもんね。
男色の道に引きずり込むなってコトか。
納得……って!
「ぅええ!? あたっ、オレが黒斗とどうにかなるって思ってるのか!? 由理香ちゃんは!?」
由理香ちゃんが走り去ってしばらくたってから、あたしは叫んだ。
「友、お前反応遅ぇよ……」
一部始終を見守っていた弘樹が言う。
その隣で高志がうんうんと頷いていた。
「つか、変な道って。何でオレにだけ言うんだよ!?」
「そりゃあ……」
「お前が」
「女みたいに可愛いからだろ?」
上から黒斗、弘樹、高志の順番で言われた。
「わざわざ三人で分担して言うなーーー!!」
あたしの叫びはオオカミの遠吠えのように辺りに響いた……。