聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
『あたしから逃げないでよぉ』
その言葉が、俺の頑(かたく)なだった心を揺さぶった。
そう言って涙を流した友は、俺に側にいて欲しいと言っているようで……素直に、可愛いと思った……。
何でそんなに俺のことを想ってくれるのか疑問に思った。
俺は、友をいたぶってオモチャにして、全てを奪おうとしている奴なのに……と。
その疑問をぶつけて返ってきた答えはかなり予想外のものだった。
『黒斗のことが好きだからに決まってるじゃない!!』
その言葉を聞いた瞬間、俺は一瞬電流が流れたような衝撃を受けた。
いつも一生懸命で、人のために頑張る友が……。
いつも酷いことをして泣かせてばかりいる俺を好きだと言った。
途端に友が可愛くて堪らなくなった。
可愛くて愛しくて、抱きしめたくなった。
そして立ち上がった友が、俺の希望の光になると言った。
見上げた友は、俺にとってまさしく光だった……。
友が側にいてくれるなら、俺は一歩踏み出す勇気を出そう。
友が俺を好きでいてくれるなら、俺は他人と向き合ってみよう。
そう、思えたから……。