聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
第六章 夏の海と小悪魔男
「じゃーな、友、黒斗」
「まった明日~」
片手を上げてあたしたちとは別の方向に帰っていく弘樹と高志。
「ああ、じゃーなー」
「おう、きーつけて帰れよー」
同じく片手を上げて挨拶し、あたし達も寮への道を歩いていった。
前となんら変わり無い光景。
弘樹や高志に対する黒斗の対応も、前とほとんど……って言うか全く変わっていなかった。
あたしがそれでいいのかな? と聞くと黒斗は――。
「いきなり対応変わっても驚くだろ? だから徐々に変えていくさ」
と答えた。
まあ、確かにその通りだよね。
徐々に変えていくって言ってるし、その辺は黒斗自身に任せよう。
あたしは側にいるって約束を守るだけ。
黒斗を好きなあたしにとっては、その約束は望む所。
だから全然苦にならない。
…………ちょっと訂正。
苦にはならないけど、たまに側から離れたい衝動に駆られることがある。
それは決まって二人きりのときに起きる。
今日も、寮に帰って部屋に入るときそれは起こった――。