聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 パーカーの前部分を引っ張られ、一気にボタンが外れる。

 そして黒斗はあたしの首筋に吸い付いた。


 やだぁ、こんなの……。

 怖い……。


 黒斗の手が水着の上から胸に触れた途端、あたしは耐え切れず泣いてしまう。


「ひっ……やだぁ……」

「っ……友?」

 黒斗の戸惑った声が聞こえる。


「こんなの、やだっ……。黒斗、怖い……」

「っ! ごめん……ごめん、友……」

 そう謝ってきた黒斗はあたしの頬を優しく包み込み、優しいキスをしてきた。

 額に、目蓋に、唇に……触れるだけの優しいキス。

 あたしが泣き止むまで、あたしが落ち着くまで何度も……。





「……ごめん、ね?」

 落ち着いてきて、あたしは黒斗にそう告げた。

「他の人とキスなんかしちゃって……でもあれは――」

 説明しようとした言葉をキスで止められる。


「分かってる。友、抵抗してたもんな。……悪いのは俺の方だ。それが分かってるのに、お前は俺の女だってことを無理矢理にでも確認したかった……」

 そう言って、黒斗はばつが悪そうに笑う。

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