聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
やっぱりこの関係は崩したくないな……。
「そういえばさ、気付いたか?」
あたしがちょっと物思いに耽(ふけ)っていると、弘樹が突然そんな風に聞いてきた。
「何をだよ?」
高志が真っ先に聞き返す。
「机、一つ多いと思わねぇ?」
「え?」
言われてあたしは教室内を見回した。
そして視線を後ろの方で止める。
「ホントだ。後ろの席一つ多い」
と呟くように言ったあたしの言葉に高志が続く。
「マジで? あ、ホントだ。全然気付かなかったぜ」
そして最後に黒斗が言う。
「あー。何か違和感あるなーと思ったら机一つ多かったのか」
と、それぞれが気付いた所で弘樹が推理を始めた。
「俺が思うに、転校生が来るんじゃ無いだろうか」
「……」
「……」
「……ま、普通真っ先にそう思うよな」
推理とも言えない当たり前な意見に、あたしと高志は呆れて何も言えず、代わりに黒斗が突っ込んだ。
「んだよ、ちょっとはノッて見せろよ。ノリの悪いやつらだな」
なんて説教する弘樹だけど……。
ゴメン。弘樹のノリってイマイチついて行けないよ。