聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 黒斗は一応返事はしたものの、その雰囲気は何だかちょっと怖かった。


 そんな黒斗に日生が近付き、挨拶をする。


「それじゃあよろしく。相楽くん?」

「黒斗でいいよ。拓馬」


 そうにこやかに会話を済ませた二人だったけど、雰囲気が険悪に見えたのはあたしだけだっただろうか……。


「じゃあ席つけよ」

「ああ、そうさせてもらう」


 ……やっぱり微妙に険悪ムードだ。

 誰も気付かないのかな……?


 そう思って辺りに視線を巡らしたけど、特に不思議がってる顔は見受けられない。



 皆気付いて無いんだ……。

 まあそうだよね。

 多分この険悪さはあの夏休み中のことが尾を引いてるからだと思うから……。


 面倒なことにならなきゃいいけど、と思っていると、後ろの席に向かう途中の日生があたしの近くで足を止めた。

 どうしたのかと見上げると、そこには目を見開いてあたしを凝視する日生の顔が……。



 ヤ、ヤバイ!? まさかあのときキスしたのがあたしだってバレた!?


 ……いや、まだバレたって決めるのは早い。

 顔が似てる奴と思ってるだけかもしれないし……。


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