聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「どうしたんだ? 日生?」

 あたしは極力動揺を抑えて聞いた。

 すると日生は弾かれたようにハッとし、「なんでもない」と言って自分の席に着いた。


 とりあえず、今は誤魔化せたと思う。

 このままずっと誤魔化せればいいけど……って、無理だよね……。



 そのまま朝は何事も起こらず始業式が始まり、無事終了。

 一日の終わりのSHRも終わり、あとは帰るだけとなった。



「日生ってどこから来たんだよ?」

「あー? ここから新幹線で一時間くらいの海」

「にしてもお前女装とか似合いそうだよな。最初からこの学園に入学してればジュエルなれたかも!」

「はあ? 女装って……つかジュエルって何だよ?」



 放課後、早くも人気者になりつつある日生。

 クラスの連中から質問攻めになっている。


 この様子だと今日は何事もなく終わるかな?


「友、帰ろうぜ?」

 日生の様子を窺っていたら、黒斗が声を掛けてきた。

「弘樹と高志はもう帰ったから。あいつらゲーセン行くんだとよ」

「ええ!? だったらオレ達もいこうぜ!?」


 二人だけで遊ぶなんてずるい!


 そう思って叫ぶと、黒斗に「バカ」と小突かれた。


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