聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「社長からはデビューする許可を貰っただけ。だから今は私達を使ってくれそうな所に売り込んでるところなのよ」

 怜さんがそこまで説明すると、雪さんがブツブツと話し出した。


「試聴用の曲もレコーディングしたわ。色んな場所に直接行って可愛く売り込んできたわ。……なのにまだ連絡来ないなんて……うぅ……胃がキリキリする……」


 うわぁ……。

 雪さんって精神面こんなに繊細だったんだ。


 ……怜さんは図太そうだよね……。

 実際今冷静そうだもん。


 そう思って怜さんを盗み見ると、黒い微笑みを向けられた。

 怖っ!

 タイミング良すぎ!


 怜さん心まで読めるんじゃないの!?


「あら? 友どうしたの変な顔して」

「い、イエ。ナンデモナイデス……」


 触らぬ神に祟り無し……。


「まあ何にせよ、こればかりは結果を待つしかないですものね。……でも雪さん、私達はそろそろ文化祭の準備も始まるんですから、そんな調子だと倒れますよ?」

「倒れるって、そんなにハードなんですか?」

 あたしは怜さんの言葉に少し驚きながら聞いた。


「ハードって言うか……地獄絵図?」

 答えたのは雪さんだ。

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