聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
口止め
「日生、ちょっといいか?」
翌日のお昼、昼食を食べ終えると相変わらず他のクラスメイトに囲まれている日生を呼んだ。
「何だ? 愛の告白!?」
日生は冗談交じりにそう言うから、あたしも軽い口調で言い返す。
「残念~。黒斗も一緒だからそれはありえない」
笑顔で言ったけど心の底では怒りの焔が揺らめいている。
昨日のことは許すとは言ったものの、やっぱりまだこの顔を見ると腹が立ってくるから。
日生もあたしの言葉の底の部分に気が付いたのか、もう冗談は言わずに素直について来てくれた。
とりあえず誰もいなさそうな場所と言うことで、屋上に向かう。
この熱い日差しの中、太陽に近い屋上で昼休みを過ごすなんて奇特な奴はいないから。
実際誰もいなかった。
ドアを開けた途端、むわっと熱気が立ち込める。
これはさっさと話をつけて退散するに限る。
「で? 説明してくれるんだろ、お前が女なのになんで男子校にいるのかを」
出来る限り涼しい所を求めて日陰に入ると、日生の方から早速話しかけてきた。
あたしは「うん」と頷いて事情を話す。