聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「ふーん……。お前の母親って何か色んな意味でスゲェのな」

 全部説明し終わった後の日生の感想はそんなあっさりとしたものだった。


 あんまり驚かないんだな……。


 そう思いながら、あたしは一番重要な口止めの話をしようと口を開いた。

「それで――」

「じゃ、さっさと教室戻ろうぜ」

 なのに日生はあたしの言葉を遮って校舎内に戻ろうとする。


「え? ちょ、ちょっと待って日生!」

 呼び止めると、日生はあたしを振り返ってニッと笑った。

「誰にも言わないで欲しいんだろ? それぐらい分かってる。俺だってお前がいなくなるのは面白くねぇし、誰にも言わねぇよ」

「あ、ありがとう……」


 話が早くて助かるけど、早すぎてなんだか……呆気に取られた。

 チラリと黒斗を見ると、“だから言っただろ?”みたいな顔をしている。


「あ、そうだ! 黙ってる代わりに一つだけ言うこと聞いてくれよ」

「え゛?」


 やっぱりタダじゃ終わらないって事?


 あたしは片頬を引きつらせた。



「俺のこと名前で呼んで?」

「へ?」

「俺も友って呼びてぇし」

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