聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

幕間 黒斗


 

「黒斗、ちょっと話がある」

 ゲームの詳細が知らされた日の放課後、高志がいつになく真剣な目をして俺を呼んだ。


 そんな高志に少し驚いたが、何となく呼び出されるだろうことは予測していた。

 少し前、六時限目のHRで同じように真剣な眼差しで睨まれたときから。



 考えなくても分かる。

 友のことだろう。


「ああ、いいぜ。弘樹、友のことちょっとの間頼むわ」

 と弘樹の方を見ながら言うと、弘樹は特に何も聞かず笑顔で承諾してくれた。

「分かった」

 こんなとき、弘樹の存在は助かる。

 何の邪念もなく友のことを任せられるから……。


 そう考えたとき、ハッと気付いた。


 俺はいつの間にか弘樹のことを信用していた?

 数ヶ月前までは全く信じていなかったのに。

 他人に本当の意味で頼ることも無かったはずなのに……。



 なのに俺は今、弘樹を頼りにしている……。


 自分でも気付かないうちに変われているんだろうか?

 だとしたらこれは友の力だな。


 友の存在が、俺を闇から少しずつ引き上げてくれているんだ。
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