聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 ちょっと苦しかったけど、その苦しみはむしろ嬉しく思えた……。


 そうして少しの間幸せを噛み締めていると、黒斗はあたしを抱きしめたままベッドに倒れこんだ。

 雰囲気的に、したいのかとも思ったけど何かおかしい。


「黒斗?」

 不思議そうに名前を呼んで聞いてみると、「んー」と小さくうなるような声が返って来た。

「何、眠いの?」

「ん……」


 これはマジで眠いみたいだ。
 黒斗が可愛い……。


 まあ仕方ないよね。

 今日は黒斗頑張ってたもん。


 ……でも。




 あたしはまだ寝るわけにはいかない。
 シャワー浴びるんだ。


「じゃあ自分の部屋戻りなよ。あたしもシャワー浴びたら寝るし」

 あたしが言った言葉を素直に聞くかと思ったら、黒斗は逆に腕に力を込めて体を密着させた。

 ベッドから起き上がる様子は微塵もない。


「やだね。……出来るならHしたい……でも眠ぃからせめて抱きしめて寝る」

「どういう理屈よ」

「さあ? とにかく寝るから……」

 そうして黒斗は「おやすみ」と消え入るように言って眠ってしまった。



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