聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 対になるような子?

 まさか……。


「だから、ちょっとした遊び心であんたはどうかなと思ってジュエルのときの写真を見せたの」

 そしたら、と続ける。

「鳴海くん、何だかあんたのことまで気に入っちゃってね、写真集の方もセットで撮りたいとまで言い出しちゃって」

 そう言ったお母さんはあははと少し困り顔で笑った。


「あははじゃないでしょう!? 何勝手にあたしの写真見せてるのよ!?」

「だって仕方ないでしょう? 私だって予想外だったのよ。言ったでしょ、遊び心で見せたって」

 そして拗ねたように口を尖らせる。

 そんな表情、年を考えると似合うわけがないのに、何故か似合ってしまうところがお母さんだ。

「とにかく! それで鳴海くんに頼み込まれちゃったのよ。あんたのことも撮りたいって」

「それでモデルの話ってわけか……」

 納得。


「そうよ。……それで提案」

 そう言った途端、お母さんの雰囲気が変わる。

 母親ではなく、社長の顔になった。


「あんたこの機会にちゃんと契約結びましょう」

「え?」

「今まではエキストラとかの助っ人としてだったから良かったけど、今回のは正式な仕事よ。事務所がサポートしないと色々大変なの」

「そりゃ、そうなんだろうけど……」


 でも……。


< 322 / 364 >

この作品をシェア

pagetop