聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
ゲーセンに着くと、皆まちまちに自分のやりたいゲームのところに行ってしまった。
皆で来た意味は? ってなるかもしれないけど、あたし達は大概こんな感じ。
どのゲームをやるかが決まってるときは最初に皆で競い合うこともあるけどね。
由理香ちゃんはあたしのアドバイス通り拓馬について行ったみたい。
上手くいくといいんだけど……。
黒斗もいつの間にか何処かへ行ってしまった。
あたしは弘樹について行く。
だって、一応今日は弘樹とのデートが目的なんだし。
そう思っていたのに、弘樹は――。
「友、お前も好きなトコ行って良いんだぜ?」
「え? でも今日は……」
「良いって。俺、友達に気ぃ使わせたくないし」
……自分は使うくせに……。
でも、そういう弘樹も嫌いじゃないけどね。
「分かった。じゃあ好きにさせてもらうよ」
苦笑気味に言うと、弘樹に二千円を掴まされた。
「何コレ?」
「今日は俺の奢りだって言っただろ? 持ってけよ」
「え!? ダメだって!」
「はいはい俺はもう何も聞きませんー。じゃあな!」
なんて子供みたいなことを言ってさっさとどこかに消えてしまった。