聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「もう、いきなり何するのよ」

 びっくりした、と軽く非難の声を上げる。

 黒斗は苦笑気味に「悪ぃ」と謝って、プリクラの台に小銭を入れた。


「お前と撮ろうかと思ってな。……写メとかでも一緒に撮ったこと無かったろ?」

「……そういえば、そうだね……」

「それに……」

 と、黒斗は続く言葉を濁(にご)らせた。


「何? 『それに』の後は?」

 聞いてもなかなか答えてくれない。

 徐々にムキになってくるあたしを他所に、黒斗はフレームなどを勝手に決めていく。


「答えてよ!」

 いざ撮ろうかというとき、完全にムキになったあたしはそう叫んだ。

 すると、黒斗はあたしの腰に腕を回し引き寄せた。


 カシャッ

 一度目の撮影音が鳴る。


 黒斗のもう片方の手があたしの顎を捕らえる。

 近くで視線が交わり、あたしは言葉を詰まらせた。

 逆に黒斗は口を開く。


 カシャッ

 二度目の撮影音が鳴った。


「高志と前撮っただろ? キスしたトコ。だから、俺とはもっと濃厚なの撮ろうぜ?」


 カシャッ

 三度目の撮影音が鳴る。


 その後はもうよく分からなかった。

 唇が重なって、舌が絡められて……。

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