聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
終章

 それからは、お母さん――ううん、社長の言った通り忙しかった。


 まずカメラマンの鳴海さんや相方になるもう一人のモデルと顔合わせをし、これからの予定を事細かく説明される。

 あたし達の写真を載せる雑誌はもう決まっているらしく、早めに撮影しなければならないらしい。


 その所為で衣装やらスタジオを借りる準備やらかなり急ピッチで進められた。


 そんなこんなで、あたしが契約書にサインしてから四日後、初めての撮影が始まった。





 
「友、緊張してるのか?」

 撮影直前、待機しているあたしにマネージャーである黒斗が近付いてきた。

「あ、当たり前じゃないぃ~」

 緊張して口から胃が出てきそうだ。


 気持ち悪い……。


「じゃあおまじないしてやるよ」

 そう言って黒斗はあたしの手を取りキスをする。


 それはお披露目のときの仕草に似ている気がした。


「本当は口にキスしてやりたいけど、口紅とれちまうからな」

 黒斗は唇を離すと、そう冗談交じりに言った。

 でもそれはすぐに落ち着いた優しい声になる。


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