聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
今でもたまに女優の仕事してるけど、どちらかというと事務所のほうに力を入れている。
そのお母さんは確かに美人だ。
黒い髪は健康的でいつも天使の輪が見えるし、肌だって15の娘がいるとは思えないほど若々しい。
紅を塗ってもいないのにほのかに赤い唇は、娘のあたしですらたまに見惚れてしまいそう……。
でも、だからといってあたしもそうだという保障は全く無い。
実際、小学校の頃から「母親に似てないね」と、友人、親戚、果ては父親にまでも言われてきたんだ。
今更お母さん似の美人だと言われても説得力が無い。
「お世辞か親バカ発言にしか聞こえないんだけど?」
あたしはそう返した。
だって、信じられない物は信じられないんだもん。
そんなあたしに、お母さんは諦めたように深いため息をつく。
「もう信じなくてもいいわよ。……でも、進学の手続きはもう済ませちゃってるから、高校はそっちに行ってよね?」
お母さんの言葉にあたしも諦めた。
全部の手続きを終えてしまっているなら、もうあたしの力ではどうしようもない。
「仕方ないな……。どこの学校? それ」
ため息混じりに聞いた。
「聖石学園」
お母さんは簡潔に、答えのみを言う。
「…………」
あたしは押し黙り、記憶の中からその学校を思い起こした。
そのお母さんは確かに美人だ。
黒い髪は健康的でいつも天使の輪が見えるし、肌だって15の娘がいるとは思えないほど若々しい。
紅を塗ってもいないのにほのかに赤い唇は、娘のあたしですらたまに見惚れてしまいそう……。
でも、だからといってあたしもそうだという保障は全く無い。
実際、小学校の頃から「母親に似てないね」と、友人、親戚、果ては父親にまでも言われてきたんだ。
今更お母さん似の美人だと言われても説得力が無い。
「お世辞か親バカ発言にしか聞こえないんだけど?」
あたしはそう返した。
だって、信じられない物は信じられないんだもん。
そんなあたしに、お母さんは諦めたように深いため息をつく。
「もう信じなくてもいいわよ。……でも、進学の手続きはもう済ませちゃってるから、高校はそっちに行ってよね?」
お母さんの言葉にあたしも諦めた。
全部の手続きを終えてしまっているなら、もうあたしの力ではどうしようもない。
「仕方ないな……。どこの学校? それ」
ため息混じりに聞いた。
「聖石学園」
お母さんは簡潔に、答えのみを言う。
「…………」
あたしは押し黙り、記憶の中からその学校を思い起こした。