聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「出来るに決まってるじゃない」

 不安そうに聞くあたしに、雪さんは明るく言ってのけた。

「難しそうに見えるかもしれないけど結構簡単なのよ?」


 簡単!? あれが!?

 あんな強烈な微笑みが簡単に出来るなんて驚愕だ。


「あなたはメガネっていうギャップも利用できるから、一晩頑張ればすぐに使えるようになるわ」

 怜さんまでもがにっこり微笑みながら言う。



「ということだから、夕飯食べたらまたここに集合! ふふふ……ビシバシきたえてあげるわ」

 そう言った雪さんは楽しそうだ。


 雪さんって何気にサドだよね……。


 あたしはそんなことを思いつつ、小さくため息をついた。

 そして雪さんの指示通り、夕食後怜さんの部屋に集合した。



「ほらそこぉ! 引きつってんじゃないわよ!」


「駄目よそれじゃあ。ただ笑えばいいってわけじゃないのよ?」


 二人の厳しいツッコミが入る中、あたしはちょっと泣き入りつつも頑張った。

 なんとか今日中に習得しないと、明日こそはファーストキス奪われるかもしれない!
 それだけは阻止しないと!


「何休んでるの!? ほら、そこは気品を持って!」

「はいぃ!!」




 かくして、その日の夜は地獄の特訓となったのだった……。


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