聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
力の差
ジュエルスマイルを習得してからというもの、黒斗に助けられることはほとんどなくなった。
うっかり不意打ちをくらって、二度ほど抱きつかれて黒斗に助けられてしまったけれど、その分はキスマークで済んだ。
そんな感じで何とかあたしはファーストキスを死守していた……。
そんなある日――。
それは黒斗が委員会の集まりがあっていなくて、一緒に帰るために教室で高志と話しをして待っていたときだった。
「ブルートパーズ、二年の田代(タシロ)って人が呼んでるぜ?」
クラスメイトがそう話しかけてきた。
「田代?」
「誰だ、知り合いか?」
不思議そうに名前を繰り返したあたしに、高志が聞いてきた。
「いや、知らない」
「でも教室前で待ってるからさ、とりあえず行ってみてくれよ」
クラスメイトが教室の入り口に立つ人物を指差しながら言う。
「ああ、分かった。ありがとう」
あたしは感謝のしるしとしてプチジュエルスマイルをクラスメイトに向ける。
するとクラスメイトは一瞬言葉を詰まらせ、頬を染めて照れながら去っていった。