聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 あたしが痛みを堪えている間に、田代先輩があたしの太ももの辺りに乗り、動けないように腕も頭の上に一つにまとめられた。

「くぅっ!」

 ひねった手首を無理矢理掴まれ苦悶(くもん)の表情を見せるあたし。


 そんなあたしに、田代先輩の楽しそうな声が掛けられる。

「やっぱりブルートパーズは素顔が可愛いな……。そういう痛みの表情までそそられる……」


 ゾクリ……とした。

 怖い……。


 こうやって同じように黒斗に組み敷かれた事は何度もある。

 その度にあたしは負けるもんかと思っていた。



 なのに、今はただ怖い。


 田代先輩が……男が、怖い!

「や……だ……。こんな……男同士でっ」

 無駄だとは思いつつ、せめてもの抵抗を試(こころ)みた。
 恐怖で体は動かないから、言葉のみで……。

 でもやっぱりそれは無駄でしかなく、田代先輩はニタリと笑う。


「そんなの関係ないだろ? 男同士だってHは出来る」


 もちろんそれは知ってる。
 どうやるのかも。

 でも普通の男ならそういうことはしない。


「男同士なんてって思ってたけど、俺ブルートパーズ相手ならいけそうだから」

 田代先輩はそう言ってあたしの耳を舐めた。

「ひっやあぁ!」

< 76 / 364 >

この作品をシェア

pagetop