聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
 そしてゆっくり目を閉じて、うつむく。

「高志?」

 一体どうしたんだろう。


 不思議そうに名を呼ぶと、ガシッと両肩を掴まれた。

「あー……ったく!」

 うつむいたままで叫ぶ高志に、あたしはただただ驚く。


「お前可愛すぎなんだよ!」


「……は?」

 一瞬何を言われたのかわからなくて聞き返すと、今度は目を合わせてまくし立てられた。


「お披露目のときは可愛いだけじゃなくてめちゃくちゃキレイだったし!」

 ちょっとずつ顔が近づく。


「は? 高志何言って――」

「お前が他のヤツに微笑むのスッゲームカつくし!」


 って、顔!
 近い近い!!


「お前がオレに笑顔向けてくれたとき、スッゲー嬉しいし……」

「たっ、高志!?」


「……友、ゴメン……」


 高志がそう囁いたのを最後に、あたしの唇に柔らかいものが触れた……。




 え?

 何?

 ウソ……。


 あたし、高志にキスされてる!?


 見開いた目は焦点が合わず、高志の顔がぼやけて見える。

< 82 / 364 >

この作品をシェア

pagetop