聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
第三章 友情と弘樹の初恋
「高志、ちょっと」
翌日の朝、登校してすぐにあたしは高志を呼びつけた。
高志も呼ばれた理由は分かってるみたいで、何も言わずについてくる。
黒斗には教室で待っててと伝え、朝は誰も来ない階段の踊り場に行く。
そこで高志と向かい合って、何て切り出そうかと考えていたら高志の方から話し始めた。
「昨日のこと……だよな?」
「……うん。その……あれ、どういうつもりだったんだ?」
何となく、“キス”という言葉を出すのが嫌で回りくどい言い方で聞き返した。
「どういうつもりも何も……したいからしたんだ」
「いや、だからどうしてしたくなるんだよ。オレ、男だぜ?」
ここで“女だろ?”と言われないか少しハラハラしたけど、それは思い過ごしだった。
「んなこと分かってる。でも、好きになっちまったんだから仕方ねぇだろ……」
高志はそう言ってあたしから視線を逸らした。
照れているのか、顔が赤い。
……高志が乙女だ!?
ちょっと可愛いとか思ってしまった。
いやいやちょっと待て、可愛いとか思ってる場合じゃないでしょうあたし!?