聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「違――!」

「まあどっちにしてもだ……」

 もう一度否定しようと上げた声を遮られる。


「お前をいたぶっていいのは俺だけだから。たとえお前が高志を好きでも、その恋は実らせてやらねぇよ」

「…………」


 何度も高志のこと好きなわけじゃないって言ってるのに……。

 それに、たとえ好きでも実らせてやらないって何!?


 黒斗もあたしのこと好きだから、とかいう理由ならまだ理解は出来るけど、黒斗のは絶対違う!


 黒斗の今の言い方だと、“他のやつにオモチャとられてたまるかよ”みたいな感じに聞こえる。



 あたしは黒斗のその傲慢(ごうまん)ともいえる態度に腹が立ってきた。

 あからさまに顔をしかめる。


「あたし、黒斗のそういう人を人とも思わないようなところがすっごく嫌い」

 とりあえず、今思っていることをキッパリと伝えてみた。


 これで少しは考え方変わってくれるならいいんだけど……。


 そんなあたしの思いはすぐに無残に散る。


 黒斗はむしろ楽しそうに笑った。

「別に人を人とも思ってないわけじゃねぇけど……。でも、嫌いなら嫌いでいいぜ? そのほうがいじめやすいからな」

「……」


 黒斗の考え方を変えようと思ったことのほうが間違いだったんだろうか……。

 あたしは諦めにも似たため息をついた。



 そんなあたしの思いを黒斗が知るわけもなく、あたしのため息に黒斗は何だ? という顔をしていた。


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