Everything Part1
タイトル未編集
私はまた彼を目で追っていた。
夕焼けの空の下、サッカーに熱中している。
サッカーをしている彼は、本当に輝いていた。
――私、井上くんが好き。
「お待たせー、瑞希」
「藍ちゃん」
教室で好きな人を見ていると、先生に呼び出されていた友人が帰ってきた。
「ごめんね、一時間くらい待った?」
「大丈夫。気にしないで」
――お陰で井上くんのこと見てられた。
「先生になんて言われたの?」
「私のことはいいよ。早く帰ろ」
「え? 教えてくれないの?」
「うん、ひーみーつー」
藍ちゃんが遠くに行ったのを確認して、私は、自分の机の上の傷をそっと撫でた。この傷を見るたびに、自分を変えたいと思う。
クラスで人気者の井上くんと付き合えたら、みんな誤解を解いて、私のことを認めてくれるのに……。
「瑞希?」
藍ちゃんが、ドアの隙間からひょこっと顔を出す。
「なんでもないよ。帰ろっか」
「怪しいなあ」
そんなある日の放課後。今はとても幸せ。