大好きでした。
「お前、なにしてんだ?」

「なにって、袋に氷詰めて来たんだよ。」


「は?なんで。」


「なんでって昼間…あ…。」



そこまで言ってから気づいた。
まだお兄ちゃん達に叩かれたこと言ってない。
ヤバイと思って部屋に急いで戻ろうとした。



「と…とにかく!!私、部屋に戻るね!?」


「あ!!おい!!コラ!?」


「「「蓮ちゃん!!」」」



お兄ちゃん達が呼び止めるのも聞かずに部屋に入って鍵を閉めた。

この部屋に鍵がついててよかった…。


ホッとしたのもつかの間
ドンドンドンドンッ!!



「蓮!!開けろ!!」



ドンドンドンドンッ!!



「開けろ!!」



お兄ちゃんがすごい力でドアを叩く。
開けたらお兄ちゃんあの人達のこと殴るじゃん。
そう思って布団を頭まで被って氷でほっぺを冷やした。

ずっとお兄ちゃん達を無視していたらお兄ちゃんがドアを壊して中に入ってきた。


そのまま私がくるまっている布団を捲った。



「蓮!!お前な!!…お前なんで泣いてんだ?」



いつの間にか流れていた涙を見たお兄ちゃんは困惑した顔をして私を見てた。



「どうした?蘭。」


「いや…。どうしたらいいんだ?海鈴?」


「は?なにが?」



そう言いながら海鈴君は中に入ってきた。


海鈴君はお兄ちゃんの小さい時からの親友。
同じ高校に通ってる。



「蓮ちゃん?泣いてちゃなにがあったのか分かんないよ?」


「…。」



ただ黙って涙を流す私を見て海鈴君は私を抱き寄せた。



「どうしたの?黙って泣いてちゃ俺達はどうしようもないよ?ゆっくりでいいから話して?」



海鈴君は昔から私には甘いらしい。お兄ちゃんに聞いて初めて知った。


小さい時から慰めてくれたりしていたからお兄ちゃん以外の誰よりも安心できる人だ。

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