大好きでした。
「そうか…。」


「なぁ、蓮ちゃん無事なんだよな!?」


「たぶんな…。とにかく早いとこ見つけ出そう!!」


「「あぁ。」」



そう言ってまたバラバラに走り出した。

近くにいるんですよ…。
私たぶん海鈴君の後ろぐらいに座ってるよ…。

誰も気づくことなく去ったんだ…。

そう思って息を吐こうと思ったら私じゃないため息が聞こえてまた息を殺した。



「はぁ…。蓮…。どこにいんだよ。俺が悪かったから帰って来いよ…。無事でいろよ。」



お兄ちゃん…。
私のこと嫌いなんじゃないの?
なんで探してるの?
お兄ちゃんが悪いんじゃないじゃん。
なんで謝るのよ…。



「馬鹿…。」



私にしか聞こえないような小さい声で呟いたら涙が流れた。

お兄ちゃんは私の声に気づかずに走り去った。

しばらくボーッとしていると携帯が震えていることに気がついた。
携帯を出してみると着信とメールがたくさん入っていた。


お兄ちゃんから20件ずつ、海鈴君から15件ずつ、蒼太君と恋汰君から14件ずつ、ママ達から25件ずつ。



「ヤバイな…。マナーモードにしてたから気づかなかったや。」



携帯を見つめているとまた電話がきた。



「あ、お兄ちゃん…。」



出ようか出ないか迷っていると切れてしまった。でもすぐにかかってくるから迷ったあげく電話に出た。



「はい。」


『蓮か!?蓮なのか!?』


「う…ん。」


『無事なんだな!?怪我はないな!?』


「うん。ないよ。」


『そうか。よかった。』


そう言うとホッと安堵の息を吐いたのが分かった。



『今どこにいるんだ?』

「………。」


『蓮?』


「………。」


『どうした?』


「…言いたく…ない。」


『なんで?』


「…だって…。」



お兄ちゃんにどんな顔して会えばいいか分かんないし…。
海鈴君達にも会いづらい。



『おい。蘭。かわれ。』


電話の向こうから海鈴君の低い声がした。

怒ってるんだ。
そりゃそうか。怒られるようなことしたんだしね?



『蓮?言いたくないならいいけど家には帰ってほしいな。お母さん達が心配してるよ?』


「………。」


『蓮?怒ってないから帰っておいで?皆が蓮の帰りを待ってるよ?』


「…うん。」


『じゃ、俺達は家で待ってるからね?今日中に帰ってくるんだよ?』


「………。」


『返事は?』


「はい。」



そう返事をすると海鈴君は笑った。



『早く帰ってくること。バイバイ。』


「はい。バイバイ。」

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