大好きでした。
「何あの女。」


「なんであんな女が?絶対私のほうがいい女よ。」


「あの程度でなんで一緒に歩けるのよ。」



などと言われてたからなんだか陣先輩に申し訳ないなと思った。

陣先輩は誰もが振り返りたくなっちゃうほどカッコいいし…。
お姉さま方が言ってることも一理ある。

そう思ったら隣を歩けなくて陣先輩の後ろをゆっくり俯いて歩いた。
途中で陣先輩が止まって顔をあげたらエレベーターの前に来ていたことに気がついた。

ずっと何も話さずにいるから少し気まずさもあるけどなんとなくホッとしてる。


エレベーターの中には私と陣先輩以外乗っていない。

陣先輩はボタンの前に立ったから対角線になるように乗った。



「………。」


「………。」



無言のまま信太先輩の病室がある5階に上がって行く。
ふと今何階なんだろうと見たとき陣先輩と目が合った。
咄嗟に逸らしてしまった。



「お前さ、気にしてる?」

「え…?」


「さっき女共が言ってたこと。」


「………。」


「気にすんな。俺の隣、堂々と歩いてろ。」



そう言ったのと同時に5階に着いた。
エレベーターから出ると陣先輩が右手を私に差し出していた。

少し迷ったけどさっきの言葉を思い出して陣先輩の右手に左手を重ねた。
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