大好きでした。
汗をふいていると陣先輩は小さい声を出して目を開けた。



「あ、起こしちゃいましたか?」


「……ず。」


「え?」


「……水。」


「あぁはい。水ですね?」


水をコップに注いで陣先輩を起こした。
背中を支えてコップを渡した。

少し咳き込みながらゆっくり水を飲んだ先輩の体は熱かった。



「先輩…。熱は?」


「…測る。」


「分かりました。」



風邪ひいてるときってあんまり喋りたくないよね?

そう思って必要以上のことは言わないでいた。



「…ん。」


「あ、はい。…8度5分。先輩どうします?帰りますか?」



そう聞くと先輩は迷っているような顔になった。
高熱なのにここにいても仕方ないと思うし、家に行ったほうが楽になれるはず。



「陣先輩。帰ります?辛いでしょ?」


「…帰っても、親…いねぇ…し。」


「共働きですか?」


「…だから、こ…こにいたほうが…。ゲホッ!!ゲホッゲホゲホッ!!…はぁ…。誰かしらいるから。」


「大丈夫ですか!?それならさっき真美先生に付き添ってあげてって言われたんで。帰るなら一緒に帰りますよ?」


「…帰ってから…結局1人じゃ…ゴホッ!!ゲホゲホッ!!」


「だから、誰か家の人が帰ってくるまで看病しますって…。もう帰りますよ?」



咳き込む陣先輩は辛そうに顔を歪ませて話す。
そんな姿見ちゃったらもうほっとけない。

強制的に帰らせることにした私は陣先輩が信太先輩の携帯に連絡して鞄を持ってきてもらってる間に自分の鞄を取ってきた。



「先輩…。冷えぴた張っていきましょ。」


「…っ!つめて…。」


「文句言わないでください。」



冷えぴたを張り終わったと同時に信太先輩が入ってきた。
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