愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
ある夜のことでございます。
久しぶりに一杯やった夜のことでございました。
いえいえ、普段は晩酌などやりませんですよ。
えぇえぇ、ほんとですとも。
一人で手酌の酒など美味しいはずがありませんです。
以前はね、小夜子がお酌するお酒をですな、一本だけ一合だけ・・。
それはもう、天子様ですらお飲みになられたことのないお酒をですな、頂いたものでございますよ。
はあ・・
その夜は、町内の寄り合いがございまして。
なぁに話と言うのは、なんでもございません。
新しくお入りになられた坂本さまの歓迎会でございます。
何でも、税理士さまだそうで。
わたくしどもお店をやらせて頂いている者には、大変大事なお方だとか。
ですので、その後の小料理屋までお付き合いを致すことになりましたのです。
わたくし元来、お酒はあまり嗜まない方でございまして。
下戸なのでございますよ。
お銚子半分も頂きますと、ごろりと横になってしまいますです。
お猪口三杯で、顔が真っ赤になりますです、はい。
は?さっき一合だと聞いたと?
そ、それは、それは小夜子のお酌だからでございますよ。
自宅だからこそ安心して飲むのでございますよ。
そう言えばいつでしたかな、一度だけ不覚を取ってしまったことがありました。
その折は珍しくも、ご婦人方も混ざっての小料理屋でございました。
えぇっと、男が三人にご婦人がお三人でしたか・・。
な、なにを考えておられるので!
不義など、とんでもない!
わたくしは、妻とは違いますぞ!
あくまでわたくしは、妻の小夜子一筋でございますぞ。
けしからん、まったくけしからんことです。
そのような下種な勘ぐりは、まったく許せんことです。
久しぶりに一杯やった夜のことでございました。
いえいえ、普段は晩酌などやりませんですよ。
えぇえぇ、ほんとですとも。
一人で手酌の酒など美味しいはずがありませんです。
以前はね、小夜子がお酌するお酒をですな、一本だけ一合だけ・・。
それはもう、天子様ですらお飲みになられたことのないお酒をですな、頂いたものでございますよ。
はあ・・
その夜は、町内の寄り合いがございまして。
なぁに話と言うのは、なんでもございません。
新しくお入りになられた坂本さまの歓迎会でございます。
何でも、税理士さまだそうで。
わたくしどもお店をやらせて頂いている者には、大変大事なお方だとか。
ですので、その後の小料理屋までお付き合いを致すことになりましたのです。
わたくし元来、お酒はあまり嗜まない方でございまして。
下戸なのでございますよ。
お銚子半分も頂きますと、ごろりと横になってしまいますです。
お猪口三杯で、顔が真っ赤になりますです、はい。
は?さっき一合だと聞いたと?
そ、それは、それは小夜子のお酌だからでございますよ。
自宅だからこそ安心して飲むのでございますよ。
そう言えばいつでしたかな、一度だけ不覚を取ってしまったことがありました。
その折は珍しくも、ご婦人方も混ざっての小料理屋でございました。
えぇっと、男が三人にご婦人がお三人でしたか・・。
な、なにを考えておられるので!
不義など、とんでもない!
わたくしは、妻とは違いますぞ!
あくまでわたくしは、妻の小夜子一筋でございますぞ。
けしからん、まったくけしからんことです。
そのような下種な勘ぐりは、まったく許せんことです。