愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
(五)妻への疑念
わたくしがこれ程に妻を疑いますのは、このような事があってからのことでございます。
お中元の品を百貨店に買い求めに行った折のことでございます。
「お昼には、遅くとも二時には戻りますから。」と、朝早くに出かけていきました。
何時頃でございましたでしょうか・・。
八時には、おりませなんだでしょう。
「十時の開店には、早すぎはしませんか?」と、わたくし申したのですが。
「早く帰りたいので、並んでいますよ。」と申します。
まあそう言われれば、それ以上は申せません。
わたくしとしましても、早く帰って店番をして欲しいものですから。
ところがです、待てど暮らせど戻りませんです。
一時が二時となり、柱時計が三時を打ちましても戻りませんのです。
車の事故にあったのでは?と思いましたが、それならば病院より連絡が入りますでしょうし。
百貨店で何かあったのか、と心配になりました。
で、電話をしてみたのでございます。
「そのような事故は聞いておりません。
店内放送でお呼びしてみますので、暫くお待ちください。」とのこと。
ですが、暫く経ちましてから、
「申し訳ありせん。
一旦、お電話を切らせていただけませんでしょうか。
ご本人様には必ずお伝えいたしまして、ご連絡を取っていただきますので。」と言われました。
わたくしにしても気は急きますですが、ただじっと待つのもどうかと思いまして。
お客様もお見えになることですし、何度も念を押しまして受話器を置きましてございます。
お中元の品を百貨店に買い求めに行った折のことでございます。
「お昼には、遅くとも二時には戻りますから。」と、朝早くに出かけていきました。
何時頃でございましたでしょうか・・。
八時には、おりませなんだでしょう。
「十時の開店には、早すぎはしませんか?」と、わたくし申したのですが。
「早く帰りたいので、並んでいますよ。」と申します。
まあそう言われれば、それ以上は申せません。
わたくしとしましても、早く帰って店番をして欲しいものですから。
ところがです、待てど暮らせど戻りませんです。
一時が二時となり、柱時計が三時を打ちましても戻りませんのです。
車の事故にあったのでは?と思いましたが、それならば病院より連絡が入りますでしょうし。
百貨店で何かあったのか、と心配になりました。
で、電話をしてみたのでございます。
「そのような事故は聞いておりません。
店内放送でお呼びしてみますので、暫くお待ちください。」とのこと。
ですが、暫く経ちましてから、
「申し訳ありせん。
一旦、お電話を切らせていただけませんでしょうか。
ご本人様には必ずお伝えいたしまして、ご連絡を取っていただきますので。」と言われました。
わたくしにしても気は急きますですが、ただじっと待つのもどうかと思いまして。
お客様もお見えになることですし、何度も念を押しまして受話器を置きましてございます。