愛・地獄変 [父娘の哀情物語り]
針のような鼻毛を抜きながら、しゃれこうべの積み上げられた椅子に、閻魔大王が腰をかけているのでございます。
そしてその横には、勿論のこと赤鬼・青鬼とが立っております。
何しろ薄暗い洞窟の中のことでございます。
ろうそくが一本だけなのでございます。
が、そのろうそくにしましても目が慣れてくるに従いまして、いかにも赤いのでございます。
そして、燭台の色が黒みがかった紺色に見えてくるのでございます。
更に目をこらしますと、その燭台があろうことか蛇になっているのでございます。
そして、炎が、真っ赤な炎だと思っていたものが、実は蛇の舌だったのでございます。
私はたまらず、天井に目を移しました。
と、コウモリとも猿とも似つかぬ獣が、口を真っ赤に濡らし、又異妖な純白色の牙を覗かせているのでございます。
そしてその獣の目といえば、爛々と輝き今にも飛びかかってきそうにも思えるのでございます。
背には赤黒い羽根をたたみ、同じく赤黒い尾を、岩の裂け目に突っ込んでいるのでございます。
一匹ではございません。
数知れなくでございます。
薄暗い筈の洞窟で、それ程にくわしく見えるはずが無いと、おっしゃられますか?
しかしそう申されましても、確かに見えたので、いえ感じたのでございます。
足下に目をやりますと、何やら蠢いております。
トカゲのようなそれでいてゴキブリのような、そんな気味の悪いものが私の足指の間やら、手指の間やらをはいずり回っております。
私の体を這っているのでございます。
そしてそして、ナメクジのようなウジ虫のような虫が・・・
うわあぁぁ!お腹といわず胸といわず、股間もでございました。
お待ちください、それだけではないのです。
実は、口の中からも何かが出てくるのでございます。
湧き出てくるのでございます。
あ、あろうことか・・あ、ありえませんぞ。
わたくしめの顔を持った、野糞にたかる銀蝿が、口と言わず鼻と言わず耳からも飛び出すのでございます。
そしてその横には、勿論のこと赤鬼・青鬼とが立っております。
何しろ薄暗い洞窟の中のことでございます。
ろうそくが一本だけなのでございます。
が、そのろうそくにしましても目が慣れてくるに従いまして、いかにも赤いのでございます。
そして、燭台の色が黒みがかった紺色に見えてくるのでございます。
更に目をこらしますと、その燭台があろうことか蛇になっているのでございます。
そして、炎が、真っ赤な炎だと思っていたものが、実は蛇の舌だったのでございます。
私はたまらず、天井に目を移しました。
と、コウモリとも猿とも似つかぬ獣が、口を真っ赤に濡らし、又異妖な純白色の牙を覗かせているのでございます。
そしてその獣の目といえば、爛々と輝き今にも飛びかかってきそうにも思えるのでございます。
背には赤黒い羽根をたたみ、同じく赤黒い尾を、岩の裂け目に突っ込んでいるのでございます。
一匹ではございません。
数知れなくでございます。
薄暗い筈の洞窟で、それ程にくわしく見えるはずが無いと、おっしゃられますか?
しかしそう申されましても、確かに見えたので、いえ感じたのでございます。
足下に目をやりますと、何やら蠢いております。
トカゲのようなそれでいてゴキブリのような、そんな気味の悪いものが私の足指の間やら、手指の間やらをはいずり回っております。
私の体を這っているのでございます。
そしてそして、ナメクジのようなウジ虫のような虫が・・・
うわあぁぁ!お腹といわず胸といわず、股間もでございました。
お待ちください、それだけではないのです。
実は、口の中からも何かが出てくるのでございます。
湧き出てくるのでございます。
あ、あろうことか・・あ、ありえませんぞ。
わたくしめの顔を持った、野糞にたかる銀蝿が、口と言わず鼻と言わず耳からも飛び出すのでございます。