【短】それでも愛してくれるなら
「……藍、携帯鳴ってるよ」


音が鳴った瞬間、藍の顔色が変わった。


「ごめん…」


あたしに一言断って、電話に出る藍。


別に謝らなくていいのに。

藍は全然悪くないでしょ?




「もしもし?彩音?」


一番嫌いな人の名を、一番大好きな藍が呼ぶ。


前は罪悪感もあったけど、今はそんな感覚も麻痺してしまった。


「えっ、今日?あー…」


チラッとあたしを見るから、気にしないでって意味で笑顔を作った。


そしたら、申し訳なさそうな顔をした藍だけど、声は当然弾んで聞こえる。


こんなことも、もう何回目なんだろう?

いつも”彩音”に邪魔される。
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