【短】それでも愛してくれるなら
当時の尖んがってたあたしが、他人と話をするだけでも珍しかったのに。

何でありのままを話してしまったのか。


自分の中の新しい感情に戸惑いながら、話をしてたとき。


「♪♪♪♪」


藍の携帯が鳴った。


「あ、ちょっとすみません」


そう言って藍が電話を取ったとき、スピーカーから漏れる女の声が聞こえた。


「……うん、分かった。彩音は今どこ?」


”彩音”…藍に尋ねるまでもなく、特別な女性なんだと思った。


さっきまであたしに向けてたものとは少し違う、藍の優しい表情が、なぜか胸に刺さったの。


「すみません。急用ができてしまいました」


何度も何度も謝って、あたしの分まで支払いをして出て行った藍。

その背中が今も頭から消えない。
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