【短】それでも愛してくれるなら
「うっ…ヒック…会いたかった」


その一言を伝えるだけで精一杯。

後先考えないバカ丸出し。


今度こそ完璧に引かれたと思った。


でも


「……僕もずっとあなたのこと考えてました」


このときのあたしは、一体どんな顔をしていたんだろう?


「僕には彼女がいます。別れる気はありません。それなのに…あなたのことが気になって仕方ない」


普通の人なら、何言ってんの?って怒るのかもしれない。


けど、ただ純粋にうれしかった。


「好きです…。彼女がいてもいい。迷惑かけないから、だから…側にいて…」


あたしにとって、初めての恋だった。


人を愛することを知った。
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