藁半紙の原稿
いつもの何倍も長く感じた一日の終わり。

私は霎介さんと露店の並ぶ神社の通りを歩いていた。



出際に「なんの買い付けですか?」と聞いたのだけれど、霎介さんは変な顔をしただけで何も話してはくれなかった。
おまけに前掛けも置いて行くよう言われてしまった。

これではまるで遊びに行くみたいだわ…


嫌ではない。
むしろどんなに嬉しいだろう。
でも私達の関係を考えたらそんな期待はおこがましく、まずないだろうと思えた。


「…播田君」

相変わらずの着流し姿で私の斜め前を歩いていた霎介さんが振り返らずに口を開く。

「なんでしょう?」



そう言って霎介さんの横に行き彼を見るとぱちりと目が合った。

すると、彼はふいと目を逸らす。




……?
あまり常の彼らしからぬその所作に内心首を傾げる。


「今日は、使用人だと言うのは言わなくて良い。
色々厄介になるのは避けたい」


「はぁ…わかりました」


まぁ、世間体を考えたらそうだろう。
私が了承すると、霎介さんは前を行く足を速めた。
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