藁半紙の原稿
曇天の道
変化した私達の関係にまず気が付いたのは仕事で訪れた蛍さんだった。
彼女は玄関で私に会うなり「水神さんには行かれました?」と聞き、行ったと私が答えるなり何かあったかとしきりに問いただしてきた。
私が答えに窮していると、珍しくこちらの様子に気が付いた霎介さんがやってきて、ただ一言、
「君の言っていた事がわかったよ」
とだけ蛍さんに言った。
どうやら私と霎介さんの仲の後押しをしたのは蛍さんだったらしい。
自分の事のように喜んでいる蛍さんに「でも世間体が…」と相談した私に、
「それは世間の見方が古いのよ。
使用人だって人間だもの。
そんなお堅い考え事そのうちぱっとなくなるわ」
と言ってのけた。
横で聞いていた霎介さんが「頼もしいな」と言って笑った。
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彼女は玄関で私に会うなり「水神さんには行かれました?」と聞き、行ったと私が答えるなり何かあったかとしきりに問いただしてきた。
私が答えに窮していると、珍しくこちらの様子に気が付いた霎介さんがやってきて、ただ一言、
「君の言っていた事がわかったよ」
とだけ蛍さんに言った。
どうやら私と霎介さんの仲の後押しをしたのは蛍さんだったらしい。
自分の事のように喜んでいる蛍さんに「でも世間体が…」と相談した私に、
「それは世間の見方が古いのよ。
使用人だって人間だもの。
そんなお堅い考え事そのうちぱっとなくなるわ」
と言ってのけた。
横で聞いていた霎介さんが「頼もしいな」と言って笑った。
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