紫陽花~7色のヤンキー達~



莢斗の了解を得たあたしはそのまま洸の話を聞くことにした



「実は約1年前の抗争で刺された矢島希里は――…」



矢島…


希里…


周りの音が何も聞こえない


ただ無音の時間の中であたしの中の何かが崩壊していく


…希…里…



っ!?






『あたしは強い。』
『こんなあたしで…いいのか…?』
『よーし!!皆旅行だっ!!』
『俺達の仲間にならねぇか?』
『初めて食った。』
『想多!!』
『大千!!』
『怜音!!』
『希里!!』
『……俺が誰かって?決まってんだろ。緋眼の死神だよ。』
『みんな大好きだっ!!』







「茉夜。」



『…た……思い出した…』


「何をですか?」


『行かなきゃ…』


「茉夜!!」



あたしは近くにあったバイクのキーをとり全速力で外へ



あの部屋にあるってことは莢斗か燈頼のキーだから勘で燈頼のバイクにキーを差し込めば見事に当たっていた



覚えてる


覚えてる



バイクの乗り方も


焔までの道のりも


焔での日々も


何一つ色褪せることなく綺麗に覚えてる


なんで忘れていたんだろう


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