学園恋愛事情
「はい。」
俺は、不快感満々で返事をする。
俺の牽制をクスリと笑って
「僕は音楽科の2年。三木島和希。宜しく。」
三木島はそう言って右手を出してきた。
握手?!
宜しくだと?!
思わず睨んだ。
こいつの、この余裕さが益々俺を子供にしていくんだ。
まだ、引っ込めないその手に手を出した。
「…はい。こちらこそ。」
ギュッと握られた『手』は、男らしさの無い、繊細な感じがした。
歌音の手に似ている。
女っぽい手だった。
ピアノを弾いてる手のせいか、細くて華奢な感じの中に、力強さがあった。
この手に…
俺は負ける?!
そんな感じがした。