天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ
「うふふっ…うふふふふふふふ…」

笑う。

メアリアンが笑う。

花びらのような可憐な唇から、こぼれる笑い声。

それ以外の言葉を発さぬまま、彼女は小岩井に背を向けて歩いていった。

彼の提案に、肯定も否定もしないまま。

ただこの日以降、メアリアン・コリックが天神学園の関係者にその能力を行使する姿は確認されていない。

少なくとも人目に触れる場所で、彼女が魔物の本性を曝け出したという報告はされていない。

誰の目にも触れる事のない闇の中で。

小岩井は、この魔物の襲撃を一身に浴びながら他者を守っているのかもしれない。

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