はじめまして、素敵な殿方。

六時間目の授業を終え、ホームルームを終わらせ、翠は再び南校舎へと足を踏み入れた。

「あ、ちょっと、聞いてよ。」

「なに。虫。くだらないことだったら殴るぞ。」

「やめてよ！」

「で？何を聞いて欲しいの？」

かなが声をかけると、晴は思い出したようにパソコンを開く。

「あのね。今日翠ちゃんが廊下でぶつかったっていう秋馬葵くんのことなんだけど…」

「よし、表出ろ。」

「お前はとりあえず落ち着こうか。」

「まぁ、まず聞いてよ！…それでね。葵くんに好きな人ができたってすごい噂になってるみたい。」

「なんで一年のほとんどをこの南校舎で過ごしてるお前がそんななういこと知ってんだよ。」

「ああ、ほら、このサイトでね。」

晴はパソコンの画面を二人の方へ向けた。

「これ、つぶやいたーっていうんだけどね。」

「なるほど。うちの在校生がこれでつぶやいているんだな。」

「そうゆうこと。でも、入学して二年間、どんな美女にもなびかなかったあの葵くんが好きになった子って、いったいどんな子なんだろうねぇ。」

「まぁ、どうでもいいけどね。おい。虫。お前ちょっと自動販売機でコンポタ買って来いよ。」

「あ、あたしのも！」