ホワイトブルー
 その日、珍しくわたしは飲みに行った。
 モトカレ(とは本当は呼びたくないんだけど)とのことを知っている、数少ない女友達が、元気付けてくれようと、誘ってくれたのだ。
 途中まではよかった。
 まだ慣れないお酒に、ふわふわした気分になって、「次いこ、次!」と言ってくれる友達がありがたく思えた。

 そのとき、女友達の一人に着信があり、これからその子の彼氏が友達を連れてくる、という話になった。誰一人として反対しない。変だな、と思った。
 それが仕組まれた合コンだって知ったとき、わたしは、トイレに立つふりをして店を出た。あぁ、友達なくしたかなぁ? なんて思いながらも、こんな場所には一秒だっていたくなかったのだ。自分でも持て余すくらいに頑固なところがある。こんなお手軽に次の恋が見つかるなら、いまだに苦しんでないよ、友達なのに、どうしてわかってくれないの?

 夜の十時を過ぎたところだった。
 店を出ると、雪が降っていた。手袋をしていない手に、はあっと息を吹きかけた。暗くて見えないが、息は白いはずだった。
 すすきの駅から地下鉄に乗って、最寄の駅まで。
 地下鉄を降りて地上に出ると、雪は積もり始めていた。濡れた路面に、うっすらと白く綿菓子のような雪が、街灯にきらきらしている。この季節が来たのか、と、ぼんやり考えた。
 さくさく、と音を立てて歩いていく。

 家の近くまで来て、アパートの前の電柱に目をやったとき、わたしは足を止めた。
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